光のコントラスト

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 京都に詩仙堂丈山寺という寺があります。詩仙堂はその建物の美しさもさることながら、部屋の内部から見た日本庭園の美しさが際立っています。

ここを訪れるのに、私が大好きな時期があります。それは、山茶花とホトトギスが咲く11月です。山茶花は大木で、建物自体が1つの黒い額縁になって、画面全体に広がっていました。私が見た山茶花の大木は10数年前に台風で倒れ、今は2代目が植えてあるそうです。日本庭園は、自然界の山の斜面を取り入れたり、建物の柱と軒を額縁に取り入れたりと計算された美しさを演出しています。

 伝統的な日本家屋において、1番の美しさを演出するのは、この軒の深さです。もちろん、軒には実用的な役目もあります。しかし、軒を深くすることで、直射日光が室内に届くことを防ぐので、室内は少し、明るさが抑えられます。外の明るさと詩仙の間の薄暗さとの光のコントラストがこの山茶花をクローズアップし、美しく演出します。そういう意味では、日本家屋は光をうまく使います。

 我が家は北側の階段を上がって、玄関の金属の扉を開けると、正面に大空につながっていく中庭があります。階段は建物内にある閉鎖した空間で、昼間でも少し暗いところを上がって来て、重い金属の扉を開けた瞬間、光が飛び込んできます。計算された光の使い方を住まいに取り入れることは、この詩仙堂に学びました。日本の伝統的な家屋の美しさの演出法には、単なる色彩でなく、光のコントラストによる表現が多く見られます。もちろん、詩仙堂のような最高レベルのコントラストの表現は簡単にはいきませんが、内から外への開放感や静から動への移行や空間を広げていくような表現に取り入れていくと、狭い空間を狭く感じなくなります。

Posted on 12月 12th 2012 in 家の話

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